葵に対し、柚奈が言ったように 私は葵が好きなんだと自覚したものの、葵に伝えられない。

なぜなら 葵からの告白と、自分の気持ちで浮かれていたから。

葵が私を抱きしめたままでいると、ふと気になった。

雅が出かける前に言っていたこと。

帰りが遅くなるからと言って葵も連れて行ったのに、まだ昼すぎ。


「 あの、葵… 」


早く帰ってきた理由を聞こうとして、インターホンが鳴った。


え~ 今!!

このタイミングで!?

誰よっ


「 誰だろね?見てくるから待ってて… 」


葵にそう言うと、私は玄関から声をかけた。


「 はい 」

「 織原、俺だ!」


先生?


私は葵の顔を見て 玄関を指差しながら声なく言った。


先生だよ、と。


「 なんで 雅が… 椿、俺が出るよ 」


葵が言いながら私のそばに来て玄関を開けた。


「 二人とも飯食いに行くぞ!」

「 えっ、あ… でも、私、さっきスーパーで… 」

「 いいから、行くぞ!葵も織原も 」


お弁当 買っちゃったんだけど…

まだ、葵と一緒にいたいし…


「 わかりました。葵、一緒にお昼しよっか 」

「 いいよ 」

「 二人とも、飯食うだけだからイチャつくなよ?」


先生、それは無理かもよ?

だって、恋、しちゃったもん。

葵に… このダサ男に!