チチチチ


どこからか聞こえる小鳥の冴えずりであたしは目が覚めた


「……ふぁ。以蔵さん、朝です…よ…」


「スースー…」


隣にいる以蔵さんにあたしはつい話してしまった


けど、隣をみると以蔵さんとは違う人がいた


あたりを見ても自分たちの部屋じゃない


「夢…ですか。あ、あははっ夢ですよね。」


あたしは頬をつねって見た


「痛くない…痛くない…痛くない。」





本当は涙がでそうなほど痛い


「ふわぁ…!」


隣にいる人…山崎さんが背伸びをしながら起きた


「痛くない、痛くない…痛くない」


あたしは起きたことに気付かず
頬をつねる


「なっ、何をしとんや!頬をつねるなんて馬鹿らしいことすなや。」


山崎さんがあたしの手を頬から離す


「なんや?怖い夢でも見たんか?」


「……」


怖い夢?


「今見てます、怖い夢。早く夢から覚めてほしいくらいですよ。」


「朝から冗談はするな。」


関西弁をやめて真面目な声であたしを叱った


「何があったんだ?」


「……っ。な、なんでもないです。あ、あれ?あたし寝言言ってましたか…?」


「あれ、寝言だったのか?お前は変わってるな。」


「変なこと言ってましたか?」


うまく誤魔化せれたみたい


記憶が戻ったっていったら根ぼり葉ぼり聞かれそう


そうなったらあたしは捕まって殺されてしまう


それもいいかもしれないけど、新撰組に殺されるのは1番嫌だ


だからなんとしてでも誤魔化しを通さないと


記憶喪失の鈴を上手く演じよう