ケータイ小説 野いちご

彼女とウェスタンブーツと僕

彼女


それは、数年前の春の事だった。

僕と彼女は、朝まで飲んで駅のベンチで電車を待っていた。

始発が来るまで一時間近くあったが、僕達にとっては一時間は短すぎた。


僕達は、8時くらいに待ち合わせしてラブホテルに入り身体を合わせ軽く食事をするとバーに行った。


身体を合わせる事は、それほど重要ではなかったがお互いの何かの確認のような物だった。


信号を渡る時に車が来ていないか確認するくらいの物で重要ではないが、必要な事だったのかも知れない。


今となっては、僕にはその意味は分からなくなっている。


バーに行くといつものように飲みながら様々な話しをした。

バーは、ロックをかける小さな店で客は多くないし、清潔とも言えなかったが、僕達にとっては居心地の良い場所だった。

彼女は、音楽全般が好きだったが特にロックンロールが好きだった。


古いロックを主にかけて時々ブルースやレゲエも流れた。


彼女は曲が流れると時に解説を入れてくれた。

マスターは長髪を後ろで結んだ細身の男で彼女と僕の邪魔はせず、明らかに僕らの好みの曲を選んでくれてるようだった。


ボブマーリーが流れた時には僕が解説した。


彼女は今度もっと聴いておくねと答えて彼のリズム感と声を褒めた。

しかし、彼女はロックに関しては辛辣でもあった。


イモ声って有ると思わない。上手い下手で無くて音楽性は良いのに声がダサいのよ。
例えばクラプトンとかね。彼は歌わなきゃ良いのにねと言うと彼女は愉快そうに笑った。


僕は、ミックジャガーはどうなのと聞くと彼女は、僕が最も好きなバンドだと知ってる為か彼の声は良いよ。上手くはないけどロックンロールに上手さばかりを求めるのはどうなのと答えた。


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