円環の紋様が呼んでいる。時代の流れが再び乱れる。
「今回はアンタか」
 乱れたところで、流れは変わらない。人は皆、それを知らない。流れを変えようと必死になる。魂を闇に染めてまで必死になる。
 オレは時司《ときつかさ》。人とは違う存在。そんな役割を負わされた存在。
 何度でも時の流れに乗って、時の流れる道筋が不変であることを確かめる。それがオレの役割。
 動乱の時代は、何度も何度も経験した。どいつもコイツも、やり直しを願う。時間をさかのぼって、悪あがきをする。
「まあ、嫌いじゃないがな」
 オレは、浅葱《あさぎ》色の羽織にそでを通した。刀を腰に差す。
 アンタたちが望むなら、何度でも付き合ってやる。
 時を巻き戻そうか。アンタたちとオレが生きた、血風の時代へと。