それからしばらくして…

文化祭を一週間後に控えた6月のある日。


学校中が学祭モードの中、授業はいつもどおり行われていた。



数学の倉田先生は相変わらずボソボソと喋る。



「えーこのグラフが〜、え〜すなわちですねぇ…」



私は必死で眠気をこらえながらノートを取っていた。


だけどだんだん意識が朦朧としてくる。


おかしいなぁ、ちゃんと早く寝たのに…


気がついたら額がペンケースにずしんと乗っかっていた。



うぅ…ねむい。


ダメ…。




だけどその時、



「…西村、西村!」



隣の席の小高(おだか)くんの声がして。


ハッと目を覚ます。


どうやら彼は、私が寝てるのに気がついて起こしてくれたみたいだった。



「…わっ、ごめん!」


「ハハ、思いきり寝てたぜ今。

起こそうか迷ったけど最近倉田の奴、居眠りにうるせぇからヤバイと思って」



うわぁ、恥ずかしい…!


けどわざわざ起こしてくれるなんて感謝しなきゃ。



「ご、ごめんね…!ありがとう」