「……ハァ」





あったかい湯船に浸かりながら

僕は溜息をついた





さっきから

状況についていけない





お茶だけもらって帰ろうとしたら

彼女に引き止められ

「抱いてくれ」と頼まれた




勿論断った

長居するわけにはいかなかったから

いつ衝動が起きるかわからないから




だけど彼女は泣いた

綺麗なこげ茶色の瞳から

彼女は涙を流した




気が付けば

無意識のうちに涙を拭っていて

彼女に合わせるように




僕は初めて

生身の女性を抱いた