「おはよう!」

余命宣告された次の日の朝。

私は、マネージャーとして所属している、バレー部の部室にいた。

「なーつき!おはよ!今日も頑張ろうなー!!」

笑顔であいさつしてくれる先輩。

「おはよー。陸は一緒じゃないの?」

この子は同じ部活の同級生。山野伸一っていうやつ。いい人なんだけど…たまにムカつく。

「陸なら、もうすこしでくると思…わっ」

「だーれだ?」

後ろを振り返ると、そこにいたのは陸…私の彼氏。

「陸おはよう。」

「おはよう。夏来。昨日病院どうだった?」

うっ…そうだ。陸には言ったんだったよ。

「え?ああ、全然大丈夫だったよ。インフルの検査とかもしたけど平気だった。」


…嘘だ。嘘だけど、陸に絶対迷惑かけたくない。


「……ふーん。よかったね。」

でも陸は勘が良いから、ばれないように頑張らないと。

「あ、朝練の時間終わっちゃうよ?」

…いつも通り振舞おう。私には1カ月しか残ってないんだから。


朝練が終わるまでに、ドリンク作んないと。

私は急いでドリンクを作る。他のマネージャーにも手伝ってもらいながら。

…とりあえずドリンクは出来た。

全員分のドリンク作るのはさすがに大変。

1人でやったらもっと大変なんだよね…。

心さんとみっちゃんがいるからまだマシかな…

心さんは3年生の先輩で、みっちゃんは 飯倉未来っていう私の同級生で親友なんだ!

「夏来ちゃん!後5分で朝練終わっちゃうよ!体育館に運ばないと!」

え、もうそんな時間!?

みっちゃんに言われないと気づかなかったよー。

「わかった!心さんはタオルお願いします!」

「うん。気をつけてもってね。」

心さんにタオルを渡し、ドリンクをみっちゃんと運ぶ。

ガラッ

体育館に入り、時計を確認する。朝練終了まで後2分。

「よかった…間に合った…。」

朝練が終わって、皆にドリンクとタオルを渡す。

「陸!お疲れ様!」

まずは陸に渡さないとね。

「ありがとう。……ねえ、俺に何か隠してない?」

…え?気づくの早いよ。

「そんなわけないじゃん。私が陸になにか隠す必要ある?」

「…まあ、そうだね。」




――冷たい汗が私の背中を滑り落ちた。