「それで俺に何の様があって来たんだ?」

零は金さんに言われて大事な用事を思い出す。

零は鞄から昨日録音したペン型録音機を取り出した。


「これです。昨日喫茶店で録音しました。大海銀行の不破清治って人があるおっさんと話しているところです。」


零は録音機を再生し、金さんに聞いてもらった。


「なるほどな…。実に興味深い話だ。」


金さんは怪しげな笑みを顔に浮かべる。

その顔はまるで獲物を狙う狩人の様にも見えた。


「この不破という男は前から黒い噂が絶えない奴でな。お嬢の親父から調べてもらいたいと言われていたんだ。これは良い機会だよ」


すると金さんは押し入れにある段ボールを出した。


「零くん…。君はこの情報にどれだけの価値があると思う?遠慮せずに言ってみ?」


さっきから怪しい笑みを崩さない金さんを見て、零は自分を試していると感じた。


そう考えるとさっきまであった緊張が無くなった。


「100万だ。銀行員のネタを握れるんだからこれくらい安いもんだろ!」


零は100万くらい安いと思っていた。

だって毎日大金を扱っている銀行員の弱味を握るんだ。


「100万か。俺だったら1000万の価値があると見る」

そう言い、金さんは段ボールの中から札束を出し、札束を重ねていった。


「零よ。どうしてこの録音機に1000万もの価値があるか教えてやる。」