家に帰った零は早速ペン型録音機で録音していたのを再生して聞いていた。



しかし、零と飛鳥の会話が邪魔をしてよく聞こえない。


だが、最後の方で何か重要な言葉が聞こえた。


それは若い男性の声だった。

『私は大海銀行の不破清治です。今回のご融資の件ですが…』

ここから先はしばらく聞き取れなかった。


だが、しばらくしたら再び音声がハッキリ聞こえた。

次の音声はドスの聞いたおじさんの声だ。

『え…。これ不正融資じゃないか?まずいよ〜。これ成功したら10億の儲けだけどバレたらワシも君もクビでは済まないよ。命を落とすことになるかもしれん。』


ここからしばらく沈黙が続く。だが、しばらくして不破清治という若い男性の音声が聞こえる。


『内部に強力者さえ入れば意外と簡単にバレる事なく成功しますがね…。罰を恐れて億という金を逃すのは愚策ですよ…。』


『まぁ、また明日ここに来ます。今日と同じ時間に…。その時に答えを聞かせてもらいますよ…。』


音声はここで途切れた。



だが、これはひょっとしたらすごいネタかもしれない。


確か不正融資とは本来口座にないはずのお金を、その指定した口座に入れることだっけな?


どちらにせよ、これはバレたら即解雇になる銀行員側の違反行為だ。



しかし、このネタを誰に教える…。

いや、まずは明日もこの喫茶店にいって不破清治の話を最初から最後まで録音することだ。


そこで初めて不破の弱味が握れる。