零は次の日の昼休みに茶道部に顔を出しに行った。

いや、顔を出したというより藤宮桜花に話をしに行ったと言うべきか。


零が茶道部に行ったとき、ちょうど桜花一人だけであった。


「今はあんた一人だけの様だな。」

「何かしら零くん。」


桜花はお茶をコップに入れる。


「アンタが出来なかった部費の交渉を成功させたんだよ。でも部費交渉がいくらなんでも簡単にいき過ぎだ。アンタ、俺を試しただろ?」


「…そうよ。校内1のウルトラ馬鹿のアナタがどんな者か見てみたくてね。ウチの学校は進学校で本来はアナタみたいな人間は入れない筈なのになぜか入学できた。この事実が気になっていたの。でも何となく分かっちゃったわ」



桜花は笑いながら零を見つめる。



「桜花さん…アンタ夢はあるか?」

桜花は唐突に聞かれた為、驚くが落ち着いて考えた。


「夢…。そうね、将来一国を買えるほどの大金を得る事かしら。」

冗談の様な事を桜花は平然と言った。


「私は将来家を継いでこの国の金の女王と言われたい…。私は昔から、そうなる為に勉強を親からさせられたわ。」


「そうか…。俺は将来『時代の渦』になりたい。」

零が言った『時代の渦』とは要するに自分がこの国の中心となって国を動かしていくと言うわけだ。


「もちろん政治家になると言うわけでは無いさ。政治家は頭が良い大学に行かなきゃなれないからな。俺がなりたいのは日本を裏から動かすと言うことだ。」



桜花は「クスッ」と笑う。

「確かに頭の悪いアンタがこの国を動かしていくにはそれしか方法がないわね」

桜花は零の言ったことを冗談だと思っている。


それを察した零は言う。


「信用していないみたいだが今実際にこの国を裏から動かしている人いるぜ。この学校の卒業生だ。」