最後の授業が終わるころ、私は体中が痛くて、なかなか席を立てなかった。
授業は小児についての講義。
教授は見た目、45歳くらいだろうか。教授の中でも若いと思う。
私の様子に気付いたたけるが、私のそばにくる。
「かな、相当やばそうだな。立てるか?」
と顔を覗かせる。
私は、
「もうちょっと待って。」
といい、立ち上がる前に深呼吸をした。
教場に残った生徒は、私とたけるだけになったので、その様子を見た教授が、私たちに近づいてきた。
「どうした?」
と私の顔を見て、すぐに私の額に手をやった。
さすがここは医学部のある大学。
目の前にいるのは、医者だっていうことを改めて感じた。
教授は私の首筋に手を当てる。
「ここを触診するのはね、甲状腺やリンパ腺が腫れていないか、硬さはどうかっていうことを確認するんだよ。
ウイルス感染していないか。悪性リンパ腫じゃないかってことも念頭においておく必要がある。」
と私とたけるにいう。
私はそういうことだったのかぁと思いながらも、重たい頭とだるい体を立てていることに必死だった。
「とりあえずこの子、医務室に運べる?
僕もすぐ行くから。それから、親御さんに連絡取れるかな?」
えっ?幸治さんはまだ帰らないし、帰っていても連絡とらないで。
「親は、、いません。
大丈夫、、、です。
これからタクシー呼んで、
病院に行きます。」
と言い終えると、
ケホッケホッ
と咳が出てきた。
体が悲鳴を上げるってこういうことなんだと思いながら、立ち上がった。
「本当に、ちゃんと病院に行ける?」
と教授に念押しされ、私はしっかり頷き、荷物を持って、歩いて出ていこうとした。
しかし。1メートルもしないところで、
バタンッ
と、勢いよく床に倒れた。