ケータイ小説 野いちご

恋する時間を私に下さい

VOL.4 時間を遡って…2

アシが五人に増えたのは、俺の連載が始まってから半年くらい経った頃だと思う。

「『聖士(セイジ)』です。オレのダチ。使ってやって下さい」

コウヤがアシ仲間だと言って連れてきた奴は、俺と同い年だった。


「…俺にソッチの気はないからな」

ノッケから失礼なことを言う奴だった。

「…こっちもその気はねぇよ!」

あくまでも売れる為の漫画だと説明した。


「くだらねぇ…」

そう吐き捨てたのは『スグル』。
こいつは謎の多いヤツで、絵は上手いが漫画は嫌い…という妙な男だった。

「…お前、なんで俺のアシなんかやるんだよ⁉︎ 」

くだらねぇ…とかいう時点でやめろよ…という気分になった。

「いいだろ別に。ここのバイト代は割がいいし、つまんねー仕事なんかやるより、はるかに儲かんだよ!」

株が趣味だと言うのが本当かどうかも不明な奴だ。
ジャラジャラとぶら下げてるキーチェーンやホルダーは、全部、女からの貢ぎ物だと言って笑ってた。


(…スカした野郎だな…)

最初から気にいらない感じはしてた。
でも、余計なカットを描いたり、トーンを貼ったりして、上手い具合に原稿を仕上げやがる。
…おかげで、俺の漫画のグレードは上がる。
口は憎らしくて、言葉も悪りぃ奴けど、腕だけはピカイチだというのは確かだ。


ーー男ばっかの室内で描く漫画は、恐ろしいことに『ボーイズラブ系』。
男同士の恋物語だ。


(あーあ…なんでこんな漫画に手染めたんだろ…)

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