「漫画を描き始めたのは、小学校の頃だったな…」

懐かしく話し始めた。


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『緒方君は絵が上手だね!』
『ホント。マンガ家になれそう!』

クラスの女子から、描いたキャラ絵を褒められた。

『マンガ家ー⁉︎ …なれっこねぇよ!』

読むのは好きだけどなぁ…くらいの気持ちで答えた。

『そんなの、やってみないと分かんないじゃん!』
『何か描いてみてよ!面白いかどうか、判断したげる!』

クラスの好きな子に言われ、冗談半分で描いてみた。

たった四ページほどのマンガ。
主人公は飼ってた猫で、猫目線から見た日常を追った。


『オモシロイ!』
『続きが見たい!』
『描いて!描いて!』


女子だけじゃなく、男子からも言われた。

『スゲェ!』
『ほぼセミプロ並み!』
『マンガ家目指せよ!』


子供心ながら、周りにそれだけ言われると舞い上がった。



『…オレ、マンガ家になる!』


家に帰って一番最初にそう言った。
母は唖然として…

『その前にこのテストの点数何とかしたら?』

ヒラヒラと答案用紙を振って見せた。


『マンガ家〜⁉︎ お前が〜⁉︎ 』

同居してた従兄弟は、ゲラゲラと腹を抱えて笑った。


『確かに絵は上手いけどなぁ…』

また始まった…という感じで、父は聞き流した。


『何にしても、目標を持つのはいい事だ』

肯定も否定もしなかったのはジイさん。
絵が上手いのも知らず、子供の戯言くらいに受け止めた。