ケータイ小説 野いちご

妖の王子さま

弐ノ章
抱擁




いつもの部屋につくと、白玖は傷だらけで倒れていた。
前回よりはひどくない怪我に少しだけホッとする。





「なんで、いつもこんなに傷だらけなの・・・」





どうして。
こんなに傷だらけになっても、何度も何度も戦って。

なんの意味があるのだろう。




そこまでして、一番になりたいんだろうか。



泣き出しそうになる心を抑え込み、蒼子はそっと白玖に触れた。
気分を落ち着かせるように長く息を吐き出すと、目を閉じ集中させる。



自分に傷を移すときの痛みにはどうしても慣れない。
早く終わってしまえと思う。




その時。



「あっ!?」




グイッと腕を引っ張られ、白玖の上に覆いかぶさるように倒れた。
慌てて出した左手を布団の上に付き、倒れこんでしまうのを引き止める。
突然の事に驚いたのは蒼子だけではなかった。





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