幸せとはなんだろう?


不幸とはなんだろう?


親を失い、殺し屋になった僕は不幸だろうか?


僕はそうは思わない。


なぜなら、僕は自分の意志で殺し屋になることを決めた。


9歳からの4年間は地獄だったけど、それからはそれほど不幸とは思わなかった。


人を殺しても不幸と感じない僕。


それ以上の非道なことをしても、僕は殺し屋を辞めたいとは思わなかった。


異常だという者もいるだろう。


どんなに苦しくても、目標さえあれば諦められないことを知った。


仲間というものを知った。


そして‥‥‥


「隊長」


「あ、立。自己紹介はすんだ?」


「はい。隊士の皆さんにも挨拶はしました」


「そう。じゃあ、頃合いを見て行動に取りかかってね」


「はい」


立は返事をすると、僕の隣に座る。


僕は今、部屋の縁側に座って空を見ていた。


美しい青空だ。


「隊長、なにやら珍しくボーッとされてた様子ですが、何かありましたか?」


「ちょっとね。今まであったことを思い出してたんだ。ない?なんか、ふと過去を振り返る時みたいなの」


「あー確かにありますね」


立も空を見、静かな沈黙が生まれる。


涼しい秋の風が吹いていて、風の音だけが耳につく。


「お、こんなことにいたのか」