辺りはもう真っ暗。


僕はなるべく人に見つからないように走っていた。


お梅さんをどこかに連れ去ろうとした人物。


まだそう遠くには行ってないはずだ。


「にゃ~」


「ん?叶、どうした?」


叶は一鳴きすると、僕の肩から降りた。


そして身軽に建物の隣に置いてある物を使って屋根に登る。


そしてまた、僕の様子をうかがいがら進む。


僕も屋根に上り、そのまま叶と一緒に屋根の上を走る。


叶の後を着いていくと、三人の男が歩いているのを見つけた。


あれを追いかけていたのか。


男達を注意深くつける。


すると、男達の前方に男が1人立っていた。


僕は立ち止まって様子をうかがう。


「おい貴様ら」


発された声は聞いたことのある声だった。


あの男、昼間の男か。


暗しい遠いからよく見えない。


「なんだお前!?」


「勝手な行動はよせ。それは契約に反する」


「知ったことか!あの女を手に入れれば、こちらにだって‥‥‥」


「負け惜しみは見苦しいぞ」


「うるさい!お前は俺らの言うことに従っていればいいんだ!」


なんか揉めてるな。


こっちには気づいてなさそう。


あの女っていうのはお梅さんのことかな?


よし、もう少し近づくか。


「俺は二週間、お前らを敵から守る。それがお前らとの契約だ。だが俺はこうも言った。勝手な行動をしては守れないと」


「この、下銭な浪人の分際で‥‥‥!」