「いやー、やっぱり高かったねぇ」

「地元だったらあと何時間いれただろうね」

カラオケを後にして、帰りの電車待ちのホーム。
そこかしこに私達と同じくオープンキャンパスに行ったのかここらの高校生なのか、制服を着た人たちがたくさんいた。
その人混みの中に─

「あっ、佳菜!電車きたよ!」

美夜子の声と電車の音につられて向き直る。
乗り込んだ後、振り返ってみたがその姿はなかった。

「もー・・・、歩き疲れてくたくただってのにレディーファーストって言葉知らんのかこいつらは・・・」

小声で美夜子が愚痴を漏らす。入った時にはすでに座席が全て埋まっていたので仕方なく出入口の近くに立つことにしたのだが。やはり、というか・・・。

「ま、まぁそんなに長い時間じゃないし・・・」

もー!とさっきと変わらない大きさで悪態をつく美夜子。

「・・・で、さっき探してたのは誰だったの?」