─うん、じゃあ後でね─

受話器からそんな声が漏れた。

「またお前違う女かよ!今週だけで何人目だ?!」

大学構内の食堂で学生たちが騒いでいる。その中でも一際大きな声が隅の窓際で響いた。

「うるさいうるさい。僻んでる暇があったらお前もさっさと彼女くらいつくれよ。この会話何度目だ?」

彼は慣れっこだ、とばかりに指で耳を塞ぐ真似をして微笑んで返しついさっき電話を終えた携帯をいじり始める。

「あーあ、なんでこんな男がモテるのか。神様は不公平だよまったく。」

意気消沈した男は青々と茂った窓の外の芝を見つめて、先程とは打って変わった声でため息と一緒にそんな言葉を吐き食事を口に運ぶ。
入れたと同時に嚥下したのかすぐにまた口を開いた。