そして現在──

夜のとある中学校。

私は、今そこにいる。

「今日の依頼は、簡単に終わりそう」

私は、深呼吸をして、夜の学校の校舎内へと入る。

「お目当ての妖の気配は、ここの教室かな?」

『化学室』と書かれた教室の扉を開け、中へと入り、妖が居るかどうか確認する。

「あれ?おかしいな、確かここのはずなんだけど?」

化学室の中ということもあって、中は薬品の臭いがする。

ここに数分いるだけでも、気持ち悪くなりそうだ。

「もしかして、また悪戯なんて言わないよね?」

今日、私の靴箱の中に入っていた一通の手紙。

そこには、同学年の子からの依頼の内容が書かれていた。

『一年五組 蘆屋凛さんへ
貴方の家は、陰陽師だと聞きお手紙を出しました。
そこでお願いがあります。
夜の深夜二時頃、前に俺は学校に忘れ物を取りに、その時間帯に学校に忍び込みました。
そして、科学室の前を通った時見ました。
頭に角が生えた生き物を……。
生き物は、俺の存在に気づくと、俺を追いかけて来ました。
無我夢中で走って校舎の外へと出ると、その生き物はいませんでした。
今思うとそれは、もしかしたら妖の仕業なんじゃないかと思っています。
俺以外の人がその生き物を見て、怪我をされるのを考えただけで、怖くなりました。
だからお願いします、深夜二時頃学校に行って、その妖を倒してください』

と長々と紙に書かれていた。

私が通う『月の森中学校』は、夜になると妖が出るという噂がある。

もちろん、その噂は本物だ。

それは、ここが私の修行場所でもあるから。

だから、私のところにこのような依頼が来るのは稀である。