【凛】

「はぁ……」

学校へと着いた私は、凛空の姿を探した。


しかし、今のところ見つけられずにいる。

「凛!一緒に帰ろう!」

「姫菜子(ひなこ)ごめん、今日はちょっと寄るところあるんだ」

「そっかぁ、帰りにクレープ食べに行こうと思ってたのになぁ……」

「く、クレープっ!!」

私の親友である姫菜子は、肩を落とし教室の扉の方へと歩いて行く。

そして、クレープは私の大好物でもある。

(どうしよう、凛空の所に行かないといけないけど、クレープも食べに行きたい!)

私の中で、凛空とクレープがぶつかり合う。

「やっぱり、凛空優先!」

私は、クレープという言葉を跳ね除け、凛空を探しに生徒会室へと向かう。

「凛空が居るとしたら、ここだけだよね?」

朝言い過ぎたことを謝って、すぐに帰ればいい。

私は、生徒会室の扉をノックする。

「どうぞ」

中の方で低い声が響く。

「し、失礼します!」

生徒会室なんて入るの初めてだから、なんか緊張する。