【凛音】

私が初めて空と会ったのは、八歳の頃だった。

同じ陰陽師であり、同じ道を歩んで行く者同士。

だけど、私はそれが気に入らなかった。

あいつの将来は、約束されていたからだ。

安倍晴明の孫というだけで、あいつさ期待をされていた。

私は、あいつとは正反対だ。

どんなに力が強くても、私はあいつには敵わない。

私は弱い存在なんだと、ずっと周りから言われ続けていた。

「絶対負けない……」

私は、空を勝手にライバル視していた。

それがあいつにとってどれだけ迷惑だったのかも分かっていたつもりだ。

それでも空は、私の相手をしてくれた。

だけどどんなに戦っても、私はあいつには勝てなかった。

男勝りなところがあって、空には女として見てもらえなかった。

私が十七歳になる頃、一つの変化が私たちの間で起こったんだ。

「我と契約せし十二天将よ、我が呼びかけに応えたなら姿を現し、我の助けとなれ騰蛇よ。急急如律令!」

「なんだよ今度はる」

騰蛇を十二天将にして四年の月日が流れた。

四年も経つと、騰蛇も少しずつ私を主として見てきてくれていて、従うようになってくれた。

「今日は、鬼退治に行くぞ!」

「鬼退治だぁ?何でまた」

「なんでも、貴船の辺りに鬼の妖が出るようになったらしいんだ」

「んで、わざわざ貴船まで行くと」

「そういうことだ」

「はぁ……」