【凛】

私はどこかの草原に立っていた。

「あれ……?」

周りには建物一つなく、人一人見当たらない。

「ここは、どこ?」

空はどんより雲っていて、風が私の横を通り過ぎていく。

「なんで、こんな所にいるの?」

たしか、私は誰かの意識と交代して。

その先を思い出そうとした。

だけど、思い出そうとすると私の中で違和感がよぎる。

「なに?この違和感は……」

それに、頭に頭痛が走る。

その時、私のところから離れた先で声が聞こえた。

「歓声……?」

その先を見つめると、その頭上に浮かぶ雲は、他の雲よりも黒く浮かんでいた。

「何かあるのかな?」

私は、そこへ向かおうと足を動かそうとした。

そして、また気が遠くなっていく。

「あれ……?また……」

ふらふらと歩き続けようとした時、誰かが私の手首を掴んだ。

「えっ?」

振り返ると、そこには一人の男の人が立っていた。

「……誰?」

服装からして昔の人だと思うけど、なんでだろう。

その人を見ていると懐かしさを感じた。

それに、寂しさも──