~悠珠side~

ふわぁー、寝みぃ。
入学式早々遅刻の俺、嶺艶獅悠珠は
長ーい長い入学式に負けて今にも
寝てしまいそうだ。

「入学生代表《美沢凪咲》」

ばっ!!

なぁ今、凪咲って言ったか?
凪咲って言ったよな?

先生の言葉の後、はっきりと返事をし、スラリと立ち、綺麗に歩き壇上に上がるあいつは俺の元幼馴染。
小せぇときは親同士仲良くてよく遊んでた……あいつがあんな事になるまでは。

「ーーーーー入学生代表《美沢凪咲》」

挨拶が終わる共に周りからの拍手が上がる。

ボソッ〈やっぱ、流石は凪咲だな…俺が好きになっただけある。〉

誰にも聞こえねぇようにつぶやいたはずだったが

«悠珠、何言ってんの?笑»

と隣で馬鹿にしてくる、中学からの幼馴染み獅堂艶歌(シドウエンカ)。
変わった名前だけど男なんだぜ?笑

〈何でもねぇ、懐かしいやつとの再会だよ。ま、向こうは記憶にねぇんだろーけどな。〉

冷たい言葉の矢を放つ自分に後から後悔する。


«ふぅーん。て言うか、凪咲ちゃん可愛いねぇ……狙っちゃおっと。»

なんて隣で危ない発言をしていた艶歌には気付かず事件が起きる。