ずっと憧れてた会社に就職出来て、
新生活に凄く、憧れを抱いてた。
もしかしたら、
素敵な上司に出会えて…
みたいな想像も
男性経験がほとんど無い私にはせずにはいられなくて。
少し張り切って買ったスーツを着た自分を鏡を通して見つめては
自然と緩む口元を両手で隠した。
・
最寄り駅を出てすぐ前に聳え立つのが私がこれから汗を流す職場。
きっと沢山大変な事が待っていて、
でもその分凄く楽しい事もあるはず。
そんな風な思いを胸にしまって、
自然と力の入ってしまう拳をギュッと握った。
『おはようございます。
本日からお世話になります、宮田 花凛です。よろしくお願いします!』
そう言って頭を下げると
聞こえてくる歓迎の言葉に少し、緊張が解れた気がした。
ふわりと優しいコロンの香りを効かせて、
「よろしくね。」
そう言って優しく微笑んでくれる一ノ瀬さんには特に一番、好意をもってしまったのは確か。