「あっ、卯月さん!!」

突然背後から名前を呼ばれ、薫は驚いて振り返った。

梨花がニコニコしながら小さく手を振っている。

「あ…長野さん…。」

志信とおかしな雰囲気のまま別れた翌日の土曜日、薫は久し振りに買い物に出掛けていた。

「偶然ですねぇ、お買い物ですか?」

「うん。久し振りに、服とか下着とか買おうかなーって。」

「私もなんです。でも約束してた友達が急に都合悪くなっちゃって。せっかく出掛ける準備したから、一人で来たんですけど…。」

「そうなんだ。」

梨花は薫が見ていた服をチラッと見てから笑い掛けた。

「卯月さん、もし良かったら…一緒にお買い物しませんか?」

「え?」