愛されたくない訳じゃないわ。
出来れば愛して欲しい。
それは叶わないことなのかもしれないけれど。

ルイド・セヴァ・オルーフィア公爵には、愛する妻がいた。

それはもう仲睦まじく、夜会の場でも片時も離れず、お互い愛の言葉を耳元で囁いては二人で微笑みあい、声をかけるのも憚れたという。
そんな愛する妻が突然の病にかかり亡くなったのが5年前。
オルーフィア公爵は酷く憔悴し、荼毘に付されるまで片時も愛する妻から離れず泣き明かしたという。
ルイドとその妻の間には子供がおらず、ルイドは次の妻を迎える事となる。

それが、私セルシア・ウィム・レンシュ。

その頃私は結婚相手を誰にするか決めている所だった。
オルーフィア家には跡継ぎがいない。
後妻ではあるが名門の公爵家に嫁ぐ事ができる、と親が縁談を進め結婚する事になったのだ。