彼の隣。
誰がいてもおかしくない。
私の彼氏じゃないから。
彼の彼女じゃないから。

彼は「下の名前で呼ぶのも呼ばれるのも、好きじゃない。」と言ったことがあった。
だけど...。

「こないだ○○と話したんだよ!」
そんな話してた。そしたら彼は、
「あぁ、○○か...。」

正直びっくりした。
だって呼び捨てだったから。
好きじゃないっていってたから。

それと同時に少し変な気分。
もやもやするような感じ。
そのもやもやが嫉妬って知った時もまた驚いた。
だって今までそんな感情は無かった。
思ったこともなかった。

「それって好きってことだよね。」って友達が言うから、
考えてみる。
「かも...。」

初恋同然の気持ち。

「どこを好きになったの?」

どこだろう。
顔はいいわけじゃない。
でも、話は聞いていて面白い。

運動神経が言い訳じゃない。
でも、頭はよくて芸術性がある。

ひねくれ者って言われてる。
でも、私に見せてくれる優しさは好き。

ひとりが好きそう。
だって、他人を怖がるから。


あぁ。
そういうこと...。
多分、全部が好きなんだ。

周りから悪いところを指摘されても、
でも、だって、しか出てこない。

見た目だけとか第一印象だけじゃ、その人は分からない。
それを教えてくれたのは紛れもなく彼と過ごした時間があるから。


登校時間。
眠い眠いという私に肩を貸してくれた。

好き。好き。
いつの間にこんなに好きになったんだろう。

「ねぇ。」
「なに?」
「...。」

私は今何を言おうとしたんだろう。
好き、ただそれしか考えてなかった。

「やっぱり何でもない。」
「どうしたの?なんかあった?」
「何でもない。」

気にしてくれてる。
それだけで嬉しい。

言えない。好き。
今のままでいられなくなることが怖い。



好きになるってこんなにも胸が痛くなるんだね。