一夜を森で過ごし、俺たちはやっと奴隷町を抜けることができた。



ニカが勝手な行動をとらなかったことで、あれから奴隷売りに遭遇するようなことはなかった。



ニカをまた危険な目に合わせることにならなこったことは幸いだったがーーー



いまだに売られ続ける奴隷たちのことを考えると、正直胸が苦しくなった。




遠い昔から会っていない母親ーーー…



苦しみで溢れた記憶ーーー…




あの頃の俺のような思いを誰もがしなくて済むような世の中が築かれることを、心のどこかで祈ったーーー。













「ーーーニカ、フードを被れ」



新しい町に入ったと同時に、俺はニカにフードマントを被るように指示した。




「なぜだ?
私はこの帽子を被っているよう義務付けられているのだが」




「ったく…」




いちいち口答えしてくるところは本当に可愛くない。




偉そうな口調も好きじゃない。





「…人が多い場所には敵が紛れ込みやすいんだ。
それを利用して仮面の男たちが襲いかかってくるかもしれない。
なるべく顔を隠すんだ。
帽子を被ることが義務だったとしても、命には代えられないだろ」




「ふん、なるほどな」




ニカはすぐに納得すると、ガイドンの名を呼んだ。




「なんでしょうか!?ニカさん!!」



「フードを被らねばならない。
しばらくこの帽子を預かっていてくれ」



「あ、はい!!分かりやした!!」