ワイワイと騒がしい店内を抜け、外へと出た。

 少しずつだが初夏の訪れを感じる暖かい風が吹く。

「どったの?龍ちゃん」

 一人で来たつもりが千景もきていたようだ。

「べ、別に。行かなくていいのか?」

今日の主役ともいえる千景がいないと盛り上がらないだろうに。

「いいのいいのーそれよりも、仲間の心配のほうが大事だからねー」

 なんて意味深な笑顔で俺の事を見つめる千景。

 やっぱり、千景は優しい。

「俺さ、怖い。やっぱり女と一緒に居るのが怖い。だから、今回の約束も行きたくなんかない」