学校が見えてくるたび、あたしの心は沈んでいく。

今日もあるんだと思うと、憂鬱。

いつになったら見つかるのかしら?

早く見つかれば、あんなこともないのに。




ふう、と溜息をついて、あたしは再び歩きだす。




あたし、

久我山美海(くがやま・みみ)。

世界にその名を轟かせる、久我山財閥の正真正銘の令嬢。




幼い頃から久我山財閥を継ぐ身だったあたしは、色々なことを覚えた。

勉強から一般知識まで、ジャンルは様々。

だけどあんまり、勉強は得意じゃない。

スポーツも嫌いじゃないけど、どちらかと言えば苦手。

出来るものなら、やりたくない。




久我山財閥令嬢のあたしだけど、学校は世間で言うお嬢様校じゃない。

普通の学力の、どこにでもある共学高校に通っている。




何故かって?




…悪いけど、その理由は教えられないわ。

だって、もう教室に着くんだもの。




あたしは憂鬱な気分のまま、教室の前扉を開けた。