大学の友人三人で行った卒業旅行から一週間ぶりに帰国し、美貴は無事に長時間のフライトから解放されて、身体の節々をほぐすように大きく背伸びをした。

「う~ん! ただいまぁ、私の日本!」

 空港の窓からは晴れ晴れとした晴天が広がっている。辺りを見回すと、今しがた帰国してきたばかりの観光客で空港内は混雑していた。

「も~目開けてらんない! 家に帰ってから爆睡~。美貴、じゃあね」

「え? みんなもう帰っちゃうの? 有紗も?」

旅行を共にした友人の有紗も眠たそうに眼をゴシゴシとこすっている。

「私もタクシー拾って帰るわ~」

「う、うん。気をつけてね」

 いつもならみんなでお茶でもしながら旅行の余韻に浸ってワイワイやるところだが、美貴の友人たちは時差ボケに耐え切れず、案外あっさりと帰ってしまった。どうやらまだ元気なのは自分だけだったようだ。

(うぅ、なんだ……もっとみんなとお喋りしたかったのにな)

 深川美貴は、今時の若者ではあったが派手でもなく地味でもない。身長は百五十八センチで平均的。容姿は綺麗、美人というよりもどちらかというと笑顔の可愛い天然愛されタイプだ。

 そんな美貴も無事に今年大学を卒業した。友人と計画していたヨーロッパ旅行も本来なら卒業式前に行くはずだったのだが卒論が間に合わず、なんとか友人に頼み込んで日程をずらしてもらった。そしてその旅行からつい先ほど帰国してきたのだ。