三人で暮らし始めて十年。

桜耶は高三になった。

そして、恋人を
連れて来たのだが、
なんというか……

相手は“同性”だった……

おもいっきり、
俺たちの影響だよな。

小学生だった頃は
小さかった桜耶も
今では百七五センチと
随分と伸びた。

恋人だといって
連れて来た子は
百六十前後で
中性的な顔をしていた。

第一印象は
ふわふわした感じだった。

別に反対はしない。

そもそも、自分たちが
同性カップルなんだから
息子が同性の恋人を
連れて来たこと自体はいい。

ただ、“親心”としては
苦笑するしかない。

二人がこの先
受けるであろう
誹謗中傷は避けられない。

『二人は、同性同士で
付き合う意味をわかってるか?』

俺と満彦は 何を言われようと
そんなものを
気にするタマじゃなかった。

「わかってる。
この先、色々言われることも……
でも、それでも
僕たちは一緒に居たい」

彼の手を握りしめて
桜耶は俺の目を見て
言い切った。

恋人君も頷いた。

満彦と二人で苦笑した。

「何かあったら
俺たちに言うんだぞ」

念押しする満彦に
今度は俺が一人で苦笑した。

若い二人に幸あれと祈った。