【潤side】


ショートカットの女子の手を


強引に引き屋上を出ていく僕。


しかし、僕はこの彼女の名前を知らない。


「あ……っの!ちょ……」


戸惑っている彼女の声を後ろで聞きながらも

奥の階段までやって来ると

僕は足を止め、彼女のことを見た。


「早……っ、いで……す」


そんなに早足で歩いたつもりはないのに


息を切らしている。


どうやらノロいタイプだと僕は眉をしかめた。


「あの……」

そして呼吸が整うと

そいつはもごもごと口を動かした。


…………。