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「君達。歳はいくつだ?まだ高校生じゃないのか?」



カエデさんから告白されて数日後。
時刻が零時を回った頃、制服警官が二人広場に現れた。

逃げる人もいれば、普通にケラケラ笑いながら対応する人もいて。私はシュウの
服の裾を掴んでオロオロするしかなかった。



「サチ。逃げて」



シュウは私の前に立って、私を背に隠す。



「え……でも、シュウはっ…」


「俺はいい。俺はもう何度も補導されてるし。それに、俺は全力で走れないから。だから俺らが気をひいてるうちにサチは家に帰れ」


「や、やだっ‼︎私もここにいる。私だけ逃げるなんて出来ない」


「補導されたら、親にも学校にも連絡行く。そしたら母親が迎えに来るまで帰れない。それがどういう事かわかる?あの母親と顔を合わせなくちゃいけないって事だぞ?」



母親と顔を合わす……

私をゴミ屑を見るような目で見る母親の姿を思い出して、ぞくりと背筋が冷たくなった。



「……大丈夫だよ。それに、多分あの人は迎えにすら来ない」



大丈夫じゃない、本当は。
顔を合わすと思うと怖くて堪らなくなる。


だけど今、シュウを囮に私だけ逃げるなんて出来るわけがないよ。



私達は警察の補導に素直に応じ、近くの警察署へ連れて行かれた。