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最近、日が落ちるのが早くなった気がする。まだ十七時半だというのに、もうすでに空が暗い。


賑わう商店街を行き交う人々も、何処か忙しなく歩いているように見えた。


季節は秋から冬に向けて準備を始め、この時間になると流石に肌寒い。薄手のコートやストールを巻く人が目立つ中、私は制服のスカートにワイシャツ姿という薄着で商店街を歩く。



足元がふらつく。焦点が合わない目からはもう幾ら流したかわからない涙が一筋流れ、頬には何筋もの涙の跡が残っている。



もう嫌だ……
早く終わりにしたい。こんな人生。
もうどこでもいいから、この身を投げてしまおうか。


どうせ母親が後々困るような最期の場所を探しても、あの人には全く堪えないんだから。それなら、もう何処でもいい。
他人の迷惑にならないようなとこなら何処でも……




「あ、サチか?父さんだ」



ぼけーっとほぼ惰性で足を動かしていると、耳にそんな声が聞こえてハッと振り返った。


スーツをビシッと着こなしたサラリーマン。歳は三十代後半ぐらいで、スマホを耳に当てている。


娘と電話してるのだろうか。
「もうすぐ帰るよ。お土産何がいい?」と幸せそうな表情を浮かべていて、私は思わず目を逸らした。