俺は副長に言われた通り鈴を自室へと案内し、布団で寝かせてあげたのだが。



まさか布団が一組しかないのを忘れてしまうとは。



「えっと…斎藤さん?」



「いいから寝てしまえ。」



「はい。」


鈴は言われた通りに目を閉じる。



こいつは思ったよりも素直、いや従うのにも慣れているのだ。



先程でも



「鈴はいいからそこへ座ってろ。」



「はい。」



「布団を敷いたからもう寝ろ。」



「はい。」



…と、俺がやると言ったら鈴は何もしてこない。



其処ら女ならば進んでこういうのをやりそうなんだけどな。



「すー…すー…」



鈴はもう寝ていた。



早いな。



普通夜に、男と2人っきりな部屋なのに無警戒で寝るのか?



「はぁ…」



俺の部屋からだったら総司の部屋が近いし、あいつから一組貸してもらおうか。



多分あいつなら持ってる筈。



そう思って立ち上がろうとしたら急に腕を掴まれて再び腰を下ろしてしまった。



何事かと思って腕をみると鈴が俺をつかんでいた。



「…行かないで下さい。……すーすー」