あれ?



真っ暗だ。



さっきまで炎で包まれてあたりは真っ赤だったのに。


…なんで炎に包まれたんだったけ?



なんだか体が楽。



あたしは自然に瞼が開いた。



目を開けると木の板の天井。


左右を見ると知らない男達…



あたしは上半身だけ起こして訪ねた



「…誰ですか?」


すると顔の厳つい男が


「てめぇから名乗れ。」



殺気を微かに感じいかにもあたしを警戒してる様子。



「あたしの名?あたしは……」



名前を言いかけて口を閉ざす。



もう一度口を開いて名前を言おうとするとどうしても答えられない。



名前…



「あたしの名前…ってなんだっけ。」



独り言でつぶやいたはずなのにここにいた男たちは聞こえてたみたい。



今度は優しそうな人が



「名前が分からないは本当なのか?」



あたしは首を縦に振る。



どうしても思い出せない。



それだけじゃない。



確かずっと前からの仲間がいたはずなのに思い出せない。



顔も名前も、思い出も



それにあたしには大切な人がいた気がする。



大切な人…って誰だったけ。



考えれば考えるほど頭の中は混雑になる



「いや…いや……、いやああああああ」



あたしは目を閉じ耳を塞ぎ狂ったように叫んだ。



「いや、いやいやいやいやいやいや…。」



分からない。



何もかもが分からない。



「おいっ!大丈夫か!」



誰かが私の両肩を揺らす。



「離して、離してよ…!」



あたしはその人を思いっきり突き飛ばした。



「ぐっ…」



シャラン



その人が壁に打ち付けた音がすると何か落ちる音がした。



あたしはなんだかその音が懐かしいような愛しいような感じがして、恐る恐る目をあけそれを見た。