あれから、また瞼にキスされて私の葬儀に戻ってきた




「田嶋先生

ずっと気になってたんですけど、移動する度になんで瞼にキスするんですか?」



「あぁ。死に神と死人が一緒に移動する方法なんだよ」




すっごいロマンチックな移動法だな





「ほら、田嶋陽人来てるぞ」

ほら、そこだよ。と死に神は指さした




「田嶋先生…」


田嶋先生は私の棺の前で号泣していた

普段は滅多に泣かない人なのに




近くまで行ってみると、田嶋先生は何かを話していた




「ごめん、ごめんな。牧田


俺、ずっと牧田のことが好きだったんだ

今も好きなんだよ


言えなくてごめん。意気地なしでごめん。ごめんな」





田嶋先生

私もずっと好きでした

今も大好きです






「あんず、そろそろ時間だ」


「田嶋先生」



「死に神は死人の願い事を3つ叶えることができる

あんずは何を願う?」




「死に神なのにロマンチックなの多いんですね

願っても叶わない願いとかありますか?」




ベタな質問なんだろうけど、何かありそう



「あぁ。言い忘れてたな


生き返りたい。生きてるやつを一緒に連れていく。生きてるやつと長時間話す


これくらいだな」



「長時間?短時間ならいいんですか?」



「短時間ならな。10分程度だけどな


あんず、お前は何を願う?」





私の願い…


わたしの願いは




「田嶋先生と話をさせてください」


「わかった

じゃあ、今から田嶋陽人だけあんずの姿が見えるようにする


見えるようになって10分は話せるから、大事に時間を使えよ」




死に神が指をパチンッと鳴らせると田嶋先生がゆっくり振り向いた


そして、私と目が合った