「…ん?どうしたの?」

「いや、もしかしたらって思ってな」

「え?あ、私は、新選組局長、近藤勇の末裔です!」

…やはりか…。
だとしたら…

「俺は、土方蒼依。新選組副長、土方歳三の末裔」

「…!やっぱり。何となく似てる気はしてたんだよね…!」

俺と、ひぃひぃ爺様が?
それにしても一体何処が…?

としても、こいつは似てないけどな。
近藤勇といえば、黒い髪だった筈。

こいつの場合、栗色の髪に、黄色かかった茶色い目…、性格は…少しだか遺伝が入っているみたいだ。若干だが、似ている。

「なぁ、一体何処が似てるっていうんだ?」

「えっとね、髪の色とか、長さとか?性格もそっくりだよね!」

「…俺のひぃひぃ爺様は、漆黒の髪だと聞いたが?」

「ん?でも似てるよ?まるでそこに歳三がいるみたいにそっくり」

「…そうか」

迷いなく言った蜜柑は、とても笑顔だ。
褒められない俺は、少し嬉しくなった。

「あ、そうだ。ここから駅の行き方知らない?」

「え?知ってるけど…まさか、知らないまま来たのか!?」

うん…。エヘッととぼけたまま言っていた。
こいつ…俺と会わなかったらどうしていたのだろうか。

「…よかったな、俺がいて」

「うん!蒼依ちゃんが居なかったらそこら辺に野垂れ死んでたよ。か、あのまま殺されてたか」

こいつ…あっさりと怖いこと言うんだな…。
もっと、バカなのかと思ってた。

「ねぇねぇ、それより早く行こうよ。早くしないと新幹線乗れなくなっちゃう!」

「何分なんだよ」

「30分だよ」

…おいおい、お前…もう20分しかないじゃねーか…!
ここからギリギリってとこだな。俺はともかく、こいつの体力がどれだけあるかわからない。

「おい、走るぞ」

俺達は、駅へと向かった。