金髪で目付きの鋭い青年の早坂嵐がこの世界に来て1週間が経った。



相変わらずこの世界がよく分からない。


ここ1週間ずっとカジノやパチンコ屋に通って荒稼ぎしているが特にレート高いわけでもなく、元のいた世界と何も変わらない。


ただ、気分は全然違う。


前の世界では朝にパチンコ屋前で並んでいたら一般人から白い目で見られていたが、この世界では尊敬の眼差しで見られる。



俺はこれを望んでいたんだ。


ギャンブルで生きていくことを誇れるこの世界は素晴らしい。


元の世界になんか2度と戻りたくないぜ。






そしてこの日も朝からパチンコ屋に並びに行く途中であった。



しかしその道中で浴衣を着た女の人が怪しい黒服に追われていた。




「そこの人、助けてください!」


女は俺に助けを求めた見たいで俺の後ろに隠れる。


すると黒服二人が現れて俺に言う。


「そこのチンピラ!その女をこっちによこせ!その女は他国に売り付ける商品だぞ!」

そう言う黒服に俺は言い放つ。



「他国に売り付けるなんて勿体無い。この女は俺が買おう!」


この言葉に黒服二人と女は驚く。


俺が本当に買いたいのはこの世界についての情報だ。

とりあえずこの場はこの女の子を助けて恩を売ってやろうという事だ。


助けてくれた人にこの世界の情報を言わないなんて事は無いだろう。




「…その女の借金は750万円だ。それだけ払えるのなら、女を他国に売るのは勘弁してやる。」

黒服は少し戸惑いながら言う。


「じゃあ少し待ってろ。銀行で金をおろすから。」


俺はそう言い、近くの銀行で750万円をおろし、黒服に投げ渡した。



「ほらよ。さっさと失せなよ。」


黒服は直ぐに金を確認して足早と去っていった。


浴衣を着た女の子は俺の後ろで涙を流し感謝をしていた。


「ありがとうございます。なんとお礼を言ったら言いか…。」

女の子は深々と頭を下げていたが、嵐はその娘の頭を撫でて言う。


「じゃあさ。少し付き合ってくれない?金なら大丈夫。俺が全額奢るからさ。」


そう言い嵐は女の娘に笑顔を向けた。


そして女の娘はどこに付き合わされるのか少し不安になった。


しかし、人生の危機を救ってもらった為、断るのも申し訳ないと思って嵐に付いていくことに決めた。


しかし一言だけ言う。

「なるべく人の多い場所にしてくださいね。」

女の娘は少し遠慮気味に言った。