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あの日の夜、彼には泊まって行ってもいいって言われたけど、ちょっと悩んで、それは遠慮した。

お互い何の障害もわだかまりもない状態なら、恋が深まるチャンスとして素直に受け入れたかもしれない。

でも、今の私たちには、厄介な事情があり過ぎる。

一旦、一人になって頭の中を整理しないことには、これからどう彼と接すればいいのか、すっかりわからなくなってしまったから。


本宮くんは、いつの間にかいなくなっていた。

何時まで待っていたのかわからないけど、ポストにメモが入っていた。


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お仕事お疲れ様。

帰り、遅いんだね。

今度の仕事は大変なのかな?


突然、来ちゃってごめん。

どうしても、あかねと話がしたかったから。


そう言われても困るよね。

迷惑なのはわかってるけど、会いたいんだ。


あかねから連絡がもらえるなら、いつでも飛んで来る。

番号はそのままだから、お願いします。


浩也

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レポート用紙に書かれた走り書きの文字には、焦燥感が表われている。

何だかわからないけど、必死なことだけは伝わる。


だからって、私から本宮くんに連絡をする訳がない。

わかってるのに、こんなことをするなんて、どういう風の吹き回しだろう。


今さらジタバタしたところで、結婚するのは決まってるんでしょ?

だったら、私なんかに構わず、勝手に幸せにでも何でもなればいいじゃない。