吹雪さんが言ってたホテルに入った俺達は、無人のフロントで部屋の鍵を取って、エレベーターに乗った。


ホテルと聞いて……あっちのホテルかなーと期待したけど、何て事はない、ただのビジネスホテルだ。


適当に取った二本の鍵は、506と601と書いてある。


「じゃあ……俺、506号室に行きますから、奈央さんは601号室で良いですかね?」


601の鍵を奈央さんに差し出すと、不思議そうに首を傾げた。


「なんで部屋を分けるの?真治君には色々教えなきゃならない事があるんだから、同じ部屋で良いでしょ」


断る理由はないけど……い、色々って何を教えてくれるんだろう。


死にそうなほどの傷を負った後だというのに、思春期特有のスケベ心というべきか。


別の期待が俺の心を高揚させていた。


エレベーターを降りて、部屋に入った俺と奈央さん。


安ホテルとは違う、雰囲気の良い部屋は、ますます俺に妙な期待わーさせる。


「さて……と、真治君、隣に来なさい。あなたが知らない事を教えてあげるわ」


ベッドの端に腰を下ろし、隣をポンポンと叩いた奈央さん。


「は、はひ!」


緊張して、変な声が出てしまった。