夕方までタコさんとキツネさんの仕事を眺めました。
眺めながら、地面に絵を描きました。
2人が建て直してる神社の絵。
まだ「きそ」の部分だけですが、それでも描くのには結構時間がかかりました。

「ののかちゃんは絵を描くのが好きなのかい?」

地面の絵を見て、タコさんが聞きました。

「はい。私は人と話をするのは苦手だけど、絵を描き続けるのは得意なんです。それにキレイな色を塗り続けるのは、もっと得意です」

実際は、私が描く絵はダメだ…と、いつも美術の先生に言われ続けてきました。
学校の美術の時間に描く絵は、「どくそうてき」では点があげれないと言うのが理由でした。

タコさんは私が描いた絵をじっと見ていました。
それから、仕事帰りに「寄る所がある」と言って、早目に仕事をやめてどこかへ行ってしまいました。

私はキツネさんと一緒に、タコさん達の住む家に戻って来ました。
キツネさんは怖い顔のままで、ガチャガチャと鍵を開けます。
ガラッと扉を開けると、くるりと私の方に振り向きました。

「いいか!オレはお前がここにいることを認めたわけじゃねぇ!ちびっ子はちびっ子らしく、さっさと家に帰りゃいいんだ!!」

目の前でピシャン!と扉を閉めました。
「入ってくるな!」と言われたようで、その場に立ちすくみました。

タコさんのいないこの家は、どう考えても私の居場所ではありません。
「いてもいい」と言われた1週間も、タコさんがいなければいられないんだ…と実感しました。