桜瀬駅から電車に乗って、蒼井坂駅へ。


陽希と二人で私の家へとやって来た。


「ここが由依の家か…。綺麗な家だな。」


「あ、ありがとう…。それじゃあ、中へどうぞ…。」


ぎこちなく鍵を開けて、一緒に中に入る。


視線が絡まった私たちは、お互い赤面しながら目を逸らした。


「俺、こんなに緊張するの初めてかもしれない。好きな子の家に入るのなんて、生まれて初めてだから…。」


「私も、好きな男の子を家に呼ぶの初めて…。自分の家なのに、落ち着かないぐらい緊張してる…。」


もっと、普通に振る舞えるかと思ってたけど、全然ダメだ…。


見事にガチガチに緊張してる…。


頑張れ、私。


大きく深呼吸をした。


「陽希、こっ…こっち。」


声が裏返りそうになるのを堪えながら、2階の私の部屋へと案内する。


部屋に入ると、陽希は入り口で固まってしまった。