「えぇっ!!」


ゴールデンウイーク明けの朝。


通学や通勤ラッシュを迎えた蒼井坂駅のホームに、恵理子の大きな声が響く。


「ちょ、ちょっと!!声、抑えて…!」


私は、慌てて口の前で人差し指を立てた。


「抑えられるわけないでしょ!“瀬ノ内君と付き合うことになった”なんて聞いたら、私に限らず、他の女の子たちだって驚くわよ!!」


「だっ、だから…もっと小さな声で喋ってよ!周りの人たち、不審がって見てるじゃない…。」


コッソリと耳打ちすると、恵理子は周りを見回してから苦笑いをした。


「ごめんごめん。連休明けの朝から、ビッグニュースを聞くことになるとは夢にも思ってなかったからさ。」


「ビッグニュースって、大げさでしょ。」


「そんなことないわよ!かなり衝撃的だったもの!」


興奮気味の恵理子は、私の肩にポンと手をのせた。


「んで、どうして付き合うことになったわけ?いきなり、そこまで関係が進展した経緯を聞かせてよ!」