-客観的視点-



「やめろ!!ソイツに手を出すな!!」



倉庫内に木霊した中田の叫声。


けれど、その時にはもう既に遅く、凛音を拘束していた二人の男は地面へと崩れ落ちていた。


陽へと向けられていた視線が一斉に二人の男へと注がれる。


だが、振り向いた時にはもう凛音の姿はなく、既に下っ端達の傍まで迫ってきていた。




「お前等!凛音を止めろっ!!」



中田が下っ端に向かってそう叫ぶが、下っ端達はどうなっているのか理解出来ていないせいで身動き一つ取れない。


そうこうしている内に、凛音は一番手前に居た数人の男達に襲い掛かった。



「……ヒッ!」


迫り来る女に情けない声を上げて後退する一人の男。


凛音はその男の腹を踏み台にし、高く跳んで目の前に居た男に回し蹴りを食らわせた。



「……っ、テメェ!!」


トンッと爪先で着地したのも束の間、殴り掛かってきた男の背後に一瞬で回り込むと、首に腕を回して足を引っ掛ける。


身体が浮いた所で、直ぐ真横に居た男目掛けて思いっきり押し倒した。


凛音は仰向けになって倒れた男達を横目で一瞥した後、次のターゲットに向かって走り出す。



「クソッ!!」



仲間がやられていくのを見てやっと状況を理解した下っ端達。


陽から離れ、一斉に凛音へと襲い掛かる。


だが、向かってくる男達を見ても凛音の勢いは止まらなかった。


走る足を止める事なく、フルスピードのまま男達の懐に入り込んでいく。



「同時にいけ!!」



地面スレスレで回避したかと思えば、向かってくる敵を利用し、身の軽さを生かして宙を舞う。


その独特な動きに誰もついていけない。