男達は何とか振り切った。あとは窓から入るだけだ。


窓まで全速力で走り、半開きの窓を全開にすると、窓枠に両手を乗せて右足を壁にかけた。


そして、壁を思いっきり蹴り上げ、その反動を利用して窓枠によじ登る。



「……ふぅ。侵入成功」


一旦そこで休憩して、落ち着いたところで部屋の中へと飛び降りる。


パンパンと手を払って部屋の中をぐるりと見回せば、そこはついさっきまで閉じ込められていた部屋と似ている事に気付いた。


けれど、さっきの部屋みたいに机やソファーはなく、置いてあるのは古びたロッカーだけ。


更衣室か何かだろうか。


そんな事より早く此処から去らないと、男達が追いついてくるかもしれない。






部屋のドアを少しだけ開けて、隙間から誰もいないか探る。


うん、誰もいない。


耳を澄ませば、微かに叫び声や打撃音が聞こえていて。


此処で喧嘩しているのは間違いなさそうだ。



早く行かなきゃ!



勢いよくドアを開け、声や音を頼りに廊下を曲がっていく。



皆、お願いだから無事でいて!


そう強く願いながら、ひたすら走った。