「陽、東條、はよー!」


「うーっす!お前等相変わらず仲いいな~」



勢いよく扉を開けると、出迎えてくれたのはすっかり仲良くなったクラスメート達。


あたしは一人ずつ「おはよー!」と挨拶しながら自分の席へと向かい、陽はあたしに鞄を預けていつもつるんでる友達の所へ行く。




あ、妃奈もう来てる!


妃奈の姿を見つけて、「妃奈!おはよう!」と手を振れば、それに気付いた妃奈がほんわかな笑顔を浮かべて「おはよう凛音ちゃん」と手を振り返してくれた。



「妃奈、今日は一限目なんだっけ?」


「えーと、確か数学だったよ?」


「えー、数学?あたし嫌い~」



思いっきり嫌な顔をするあたしに妃奈が苦笑する。


まぁ、嫌いなのは数学だけじゃないけど。

英語も嫌いだし、物理も大嫌い。


あたしが好きなのは体育だけ……って、



「あれ?今何か潰れた?」


机の半分ぐらいの所で何かを潰してしまった感覚がして、途中まで突っ込んだ教科書を引っこ抜いて膝の上へと乗せた。


何かプリント入れてたっけ?


そう思って机の中に手を突っ込もうとした時、ふとある事を思い出した。


と言うより、嫌な予感が過ったという方が正しいかもしれない。


だって、この感じは今までに何度か体験した事があるものだったから。



もしかして……。


手を突っ込んで“ソレ”を引き出せば、案の定想像していたモノで。


……やっぱり。


嫌な予感ほどよく当たるって本当なんだと思った。


二度と見たくないと思っていたモノだけに落胆が激しい。



っていうか、何で今更?


机から少しだけはみ出している白い封筒を見下ろして、はぁ、と妃奈に聞こえない様に溜め息を零す。