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「…ん……」

「凛音」

「とお、や……?」


薄っすら目を開けると、目の前には十夜の端整な顔があって。


一瞬夢なのか現実なのか分からなかったけど、頬に触れた指先がヤケにリアルだったから、あぁ、現実だ、とゆっくりと身体を起こした。



「……あれ?リビング?」


「お前、車の中で寝たんだよ」


煙草に火をつけて、紫煙を吐き出す十夜。


「あ。ごめん」


そう言えば途中、眠たくなってきて寝たんだった。



「皆は?」


「処理した後そのまま帰るって連絡入った」


「え、そうなの?じゃああたしも帰んなきゃ。ごめんね、あたしが寝ちゃったから十夜帰れなかったんでしょ?」



またやっちゃったよ。

あたしが寝ちゃって十夜が帰れなくなる事、今まで何度もあったんだよね。


慌てて立ち上がろうとすれば、


「いい。今日は此処に泊まる」


腕を引かれてソファーへと戻される。



「え、泊まるって……」


「お前もだ」


「あたしも!?」


え、また?


「取り敢えず、時間も遅ぇし風呂入ってこい」


「は?え?……うん」


決定事項だと言わんばかりにそう言われ、トボトボとお風呂場へと歩いていく。