放課後、いつものように駐車場へと向かった。


あっという間に着いた駐車場。


いつもより距離が短く感じたのは、別れの時が刻一刻と近付いているからだろうか。




覚悟を決めなきゃいけない。


鳳皇と離れることを。


十夜と……離れることを。










「……っ」



忘れたくないよ。

たとえ離れたとしても、この楽しかった数ヵ月を忘れたくない。


忘れたく、ない。









車のドアを開けると、十夜は今日もいつも通り腕を組んで寝ていた。



ふふっ。

いつも通りすぎてなんだか笑える。




今日が特別に感じているのはあたしだけ。

あたしが“離れようとしている”なんて、三人はこれっぽっちも思っていないだろう。




それでいい。いつも通りでいい。


“特別”なんて、いらない。



“離れる”という事を実感してしまうから。